3枚の扉がまるでひと続きの板のように見えるよう、緻密にデザイン・装飾されたサイドボード。
卓越した職人の手による高度な象嵌(ぞうがん)技術によって、扉全体に流れるような連続模様が表現されています。
扉の開閉にはプッシュ式のパーツを採用し、取手などの装飾を省くことで象嵌細工そのものの美しさを際立たせています。
正面に広がる繊細な模様は、静かな中に凛とした存在感を漂わせ、見る者に日本特有の「奥ゆかしさ」や「静謐さ」を感じさせるデザインとなっています。
この作品に使用されている模様は、「麻の葉文様」。
六角形を基に構成される幾何学模様で、星のような形を成すこの図案は、古くから日本で親しまれてきました。
三角形の集合体によって構成されるこの模様は、魔除けの意味を持つとされ、古来よりさまざまな場面で使用されてきました。
麻の葉に形が似ていることから「麻の葉模様」と呼ばれ、連続して広がる意匠は「麻の葉つなぎ」や「麻の葉くずし」とも表現されます。
このサイドボードは、そうした日本の伝統的な意匠や文化的背景を、現代的な造形と職人技によって再構築したものです。
和とモダンが融合したその佇まいは、空間に上質な静けさと品格をもたらします。