女性の着物姿をモチーフにデザインされたこの寝椅子は、空間に静かな存在感と、洗練されたアクセントを添える一点です。
曲線美を基調とした優雅なフォルムは、流れるような非対称のラインを描き、まるで枯山水の庭園にたゆたう水の流れを思わせます。
その佇まいには、日本の伝統的な美意識――“間”や“余白”の感覚、そして静けさの中に潜む力強さが表現されています。
本作の最大の特徴は、柄の異なる3本の長さ4mにおよぶ帯を大胆かつ繊細に用い、フレームに巻き付けて仕上げている点にあります。
柄の重なり方、色と質感の調和、そして素材が生み出す陰影を何度も試作・検証を繰り返し、最も美しいバランスを探り当てました。
その背景には、製作を手がけたニューヨークの家具職人たちの卓越した技術と、日本の伝統素材への深い理解、そして妥協のないこだわりがあります。
東洋の精神性と西洋のクラフトマンシップが見事に融合したこの家具は、単なる“座るための椅子”ではなく、文化と技術、そして人の想いが重なり合って生まれた芸術作品です。
空間に置かれることで、静かに語りかけるような深みと物語性をもたらします。